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短い会話や日常について
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彼女と僕は毎夜遊び続けた。踊ったり走ったり、ハイテンションで街を徘徊した。彼女はすでに全部を振りきった無茶苦茶なテンポ、ヒールが12センチもありそうなサンダルを踝まで編み上げサイケな柄のスカートとゴージャスなファーをサラッと纏って、とんでもなくキュートに笑いながら暴れまくってる。僕は必死でそれを追い掛け喰らい付く。今はレストランで極上の食事とデザートを食い逃げしたところ。置いてあったバイクに飛び乗って大笑いしながらだだっ広い道路を走ってる。でも僕はバイクなんて乗ったことないしましてや二人乗りなんてできるはずもなく思いッ切りコケてしまった!それでも彼女は笑ってる。狂ってるのか?それでもいいか。
「あなたってサイコー」、確かにそう言ったんだ、僕は嬉しくなって他はもういらないと思った。僕らの世界が守られればそれでいい、そのことに僕の全てを捧げるよ。
「ねえ!」
車の窓ガラスをヒールで割ったばかりの彼女を振り向かせ、無理やりに彼女の細い指と不格好な僕の指を絡ませて、

「誓わせて」

子供みたいに指切りで二人の世界に約束をした。



「指切りで二人の世界に約束を」 お題提供:キョウダイ

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「例えば飛んでいる飛行機をさあ」
「うん」

パーン

「ってね、撃ち落すでしょう」
「はいはい」
「そうすると地面まで飛行機雲ができますね」
「はあ」

ゴオオオオオ

「……で?」
「うん、それだけだよ」
「あ、そうなの」
「なんで?」
「いや別に」

あなたならそれを登って空に行けるねとか言うかと思っただけ。
生ぬるい空気がゆっくりと地面から這い上がり
代わりに黄味を帯びた光がゆっくりと吸い込まれる。

そうして暮れたばかりの空にぽっかりと開いた月が赤かった。

「めっちゃきれい」
「すごいね」

先に気付いた俺は天を仰ぐ。
いつもは唯の蒼白な穴にしか見えないのに、今日は薄明るく濁った雲を従えていて、
それがまるで月からどろどろと流れ出しているように見えた。

これ程までに赤いと、

「なんか血痕みたいだね。」

返事はなかった。
隣りの彼は立ち止まり、随分と赤い月を気に入ったのか、或いは逆か。
色素の薄い目は少し怖いくらいに赤に魅入っている。

(……しょーがないな。)

手に持ったコンビニ袋。
それさえも落としそうで。

多分自分には、最早空に依存に近いほどの執着を見せる彼を歩かせることなどできないから。
かけたかった言葉はため息と一緒に飲み込んで、とりあえず彼がどこかへ飛んで行ったりしてしまわないことを願っておいた。
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